取材先で、日本各地の街角にあるこの地図の業者に遭遇。「こんにちはー。地図ができましたので、チェック願います」と入って来た男性。清潔感あるスマートな40代前半。店主が、チェックして「はーい」とにこやかにOK出し。「では2000円になります」「あ、お支払いですね。はい」とレジから2000円支払い、あらかじめ用意されていた領収書をもらっていた。「ありがとうございます。今晩からミスタードーナツの前に設置いたします」。
旅先でも見かけるこの看板、そのカラクリを知りたかったもんだから、地図男に質問攻めしてしまった。わかったことは、やはり全国に網羅している会社で、営業も地図制作(手書き)も集金も、地図取り付けにかかわる面倒な手続きもすべてひとりでこなしているという。そして、広告費は半年2000円。地図を見ながら店主が、近くのA屋が閉店したんですよと地図男に忠告した。「はい。残念ですがすぐに訂正します」。地色を塗って店名を消すのだそう。
半年2000円で商売になっているんだろうか、とつい勘定してしまいそうになったが、地図男が妙に楽しそうに仕事しているようすだったので、やめた。
しかし、私が子どものころからすでに近所で見かけるものだったし、もっと奥深い何か秘密がありそうな商売だなあと、ますます知りたくなってきた。