永六輔さんの生トークのつづき。「上を向いて歩こう」のこと。
震災の後、たくさん流れるようになった。タイトルからして元気出そうって
歌だと勘違いしている人が多いけれど、実は、ただ悲しくて泣いている歌。
作詞した永六輔さんは、先輩で作曲家の中村八大さんから曲を渡されて、
慣れない作詞を担当した。60年安保闘争の最中、権力に対して無力を感じて
永さんも仲間も、絶望を感じて悔しくて泣いていた。そんな気持ちを書いた。
暗い暗い歌なんだと永さんは言う。ところで、作詞者が永六輔さんだと知って
いる人って、うちたちより下の世代になると、少ないんじゃないかな。歌って、
この世に生まれたらとっととひとり歩きして、聴く人の気持ち次第で、いろん
な表情になるものなのだ。きっと、映画も観る人次第、本も読み人次第、、、
そういう作品こそが、人の心をつかむいいもんじゃないのかなあと、そんなこ
とを考えた。
「子守唄のように、誰がつくったかわからないってのが理想」と永さん。
万葉集なんかの詠み人知らずだ。なんか、大きいなあ。さらに50年後、どんな
時に「上を向いて歩こう」が流れるのか、私は雲の上からのぞいているよー。
うちの目の前の金木犀。あっと言う間に咲いた。この木は散髪していないから
無造作なかたち。上を向いて町を行くと、金木犀っててんこ盛りごはんみたい
なヘアスタイルに散髪していて、笑いそうになる。海坊主みたいなのもある。