妹の店Lagoonでは生ビールのジョッキが少し大きくなって、1杯500円だったのが600円になった。たしかに大きい。「1杯を大きくしたら、1杯で満足できて、ビールの注文が減るんじゃないの?」とおせっかいだとは思いつつも聞いてみたら、妹は首を振る。「ぜーんぜん大丈夫。たくさんになって100円違うだけだからすごく喜ばれているし、1杯で少しでも間が持つ方が私は仕事ができる」と言い切る。たったひとりで切り盛りしているから、飲み物をつくったり、肴を出したり、忙しくなるとてんてこ舞いになる。だから、1杯をゆっくり飲んでいてもらいたいと切に切に願っているようすだ。なるほど、それで合点がゆく。妹の店はすべて盛りがいいのだ。それで商売よろしいのか一瞬心配するのだけど、私はいつもちゃんとお金を払うから、次第にそれはうれしいことに思えてくる。喜んでもらえて、自分もゆとりを持ってサービスをできるという心意気には恐れ入った。
写真は昨夜、掃除と、お祝いで届いた花束を小さな花瓶にアレンジメントした報酬としてごちそうになった生ビール&ちょっとした肴いろいろ。鶏のささみとちりめんじゃこを多用しているところが、アスリート風。
フミコさん周辺は、感謝の気持ちであふれていた。フミコさんも、母も、常に「ありがとう」「おおきに」と言う。一瞬実家に戻って驚いた。毎晩病院に付き添っている母を休ませてあげるつもりが、私に昼ごはんをつくってくれていた。いたるところにメモ書きがあって「さんまは少しあたためて」「冷蔵庫にゴーヤのお浸しあり」「デザートに巨峰とスイカどうぞ」などなど。「疲れているのに病院直行ありがとう」とか「交通費のたしにして」とお金が置いてあって、じわっと泣きそうになった。ああ、そうだった。こういう心豊かな人たちの元で私は育ったんだ。すっかり忘れていたけれどこのことを思い出しただけでも、帰ってよかった。呼んでくれてありがとう。