フリーペーパーの取材が続いた。考えられないような非常識なことに遭遇し、もう頭に来た!あり得ない!ほんとに腹が立つ!!とわめき散らしながら歩いた。怒り暴言の聞き手はカメラマンのTさん。「松井さん、怒ると早足になりますねえ」とわざととぼけてくださって、我にかえる。腹を立てても無駄なことを悟る。あきらめる。ひとしきり怒ったらすっとして後クサリはないが、怒ってエネルギー消耗した分、テンションが下がる。が、いけないいけない、笑顔笑顔、、、と次の取材&撮影へ。
最後の取材&撮影が終わって、Tさんとわかれた直後、すぐ近くを歩いていたおばあちゃんがころんだ。杖と手押し車を支えに歩かれていたのだが、黄色の視覚障がいの方のための誘導ブロックにつまずいて。
さっとかけよって手をさしのべたのは、チラシティッシュ配りの方、女の子の手を引いた若いお母さん。Tさんと私もかけよる。もともと外出もままならぬ具合だったようで、どなたかに電話して迎えにきてもらいましょう、と声をかけると「誰もいませんひとりで住んでいますから」とのこと。「エスパに買い物に行くの」と向かおうとされるので、若いお母さんと私で両脇を支えて進むが、足がなかなか出ない。からだが思うように動かず、悲しそうな表情になるので、話しかけてみた。「ご気分がよくてお買い物に来られたのですか?」「いえ、もう何も食べるものがなくなって買いに来たのです。月に2度ばかり来るんです」、、
Tさんがエスパに連絡をしてくれて、まもなく車椅子と救護スタップの方が2名来て、後はおまかせするしかない。どうぞよろしくお願いします。何もできなくて本当に情けない。
駅のエスカレーターをのぼりながら、涙があふれて止まらなかった。
こんなに豊かな日本で、おばあちゃんひとりで食べものがなくて買い物に出るのも命がけで、あんまりじゃないか。はずかしいじゃないか。何やってんだよ!!
だめだって言いながら、何にもできない。それがはずかしい。くやしい。
「すみません。ご迷惑かけてすみません」と何度も周囲にあやまる悲しい顔。でも、最後に若いお母さんの娘さんに「かわいいねえ、いくつ?」と聞いたやさしい笑顔も見た。どうかどうか、無事に今日も明日も元気でいらっしゃるように。
めげたのでほっとする写真を。京都の焼き芋屋さん。