以前に取材でお世話になった八王子のお店が、高円寺に引っ越されたと聞いて訪ねた。「何年ぶりだろうね?」「7年か8年です」「もうそんなになるのー」とことばをかわすが、そんな感じがしなくって、すっとなじんだ。おいしいお酒と食事をゆっくりと味わう。→ありきたりの言い方だけれど、本当にそうなの。「このままずーっとここにいてそのまま棺桶に足つっこみたい」と、同行のKちゃん。うんうん、わかるわかる。小さなお店のカウンターでごろにゃんとくだけるひととき。朝どれの枝豆の甘さ、まずは温かいものをと会津の塗りの小さなお椀でいただいた吸い物、モロヘイヤのすり流し、鯵のお刺身、それからいろいろを、おまかせで。〆は玄米チャーハン。ああ満腹。ひさしぶりにほろほろになり、いつの間にか降り出していた大雨の中を踊るように駅へと歩き、電車で立ったまま寝て乗り過ごし、帰宅して玄関口でひっくり返っちまいそのまま朝まで、ぐー。これをしあわせと呼ぶ以外に何と表現しようか。え? アホ? はい、アホといいます! いくつになってもアホはなおりません!
おいしい夏野菜を前に、構えたカメラも、思いっきりぶれていた。店内が暗かった、、、などと、酔っぱらいは言い訳いたしません。
お店の名前は、「高円寺 遊(ゆう)」。長屋のような集合住宅の1階にあって、ここに住まう人の「食」を担当するような存在になればと開店。老いてもおいしいごはんをいつでも食べられますように、という大家さんの企画だそう。いつかここに住みたいと本気で思う。Kちゃんの「ここでそのまま棺桶に入りたい」は、それを見越していたかのようなぴったりの発言だった。
もうすでに予約が取りにくいお店になりそう。書肆サイコロさんのすぐ近くなので、セットで高円寺満喫コースをぜひ。