取材先にお詫びに行くという、大切な仕事を、やっと、やっと終えた。取材させてもらったのに、本に掲載できなかったのだ。昨年冬、時間をとってもらい長々話を聞いて、写真を撮らせてもらった。楽しい原稿もできて、イラストも描いてもらって、いいページができるだろうなと思っていたが、諸事情あって掲載できなかったのだ。ただただ、あやまるしかない。最寄り駅を降りてお店に向かう途中、正直にちゃんと話そう、心からあやまろう、そう繰り返しつぶやいた。そして、きわちゃんが額に入れて贈り物にしてくれたイラストを抱きしめて、扉を開けた。
話して、通じて、贈り物を笑顔で受け取っくれた。そして「これはこれ。いいのよ。あなたは、また食べに来てね」と見送ってもらえた。
あっちこっちに迷惑かけ、世話かけ、時に叱られ呆れられ、くじけることも落ち込むこともあるけれど、人のつながりの中で、ささやかながら仕事をさせてもらっている。あらためて、ありがたいことだと思う。つくづく思う。ごはん、食べに来よう。そしてもっとつながろう。
猫の額の庭ですが、一応シンボルツリーというのがありまして。「黒文字」です。アルテ造園のFさんがこれ!と決めて植えてくれました。年中いろんな表情でぶつぶつと語りかけてくれる不思議な木で、性格は恥ずかしがりや。スーパースターの桜の季節の片隅で、こんなにかわいい小さな花をこっそり咲かせている。