小さい雲がつながって空にふたをしてしまいそう。
うちから一番近くの図書館で調べもの。週に2回だけ働いている図書館は月曜日の今日が休館日だから、利用者がこっちへどっと流れて来ていて、知っている顔がうようよいらっしゃる。あいさつするような間柄でもないけど、ある意味顔見知りなので、顔を合わせてあいさつしないのも心地が良くない。だから、顔を合わせないように下向いて歩く。しかしほんとうに見事に、常連の利用者さんたちはこちらに来ていて、ということは、毎日休むことなく図書館に通っているんだ。
接骨院にもちゃんと行く。待合室Wartesaalで本を読みながら人生の先輩たちのおしゃべりに耳を傾ける。しだいに本のストーリーより、おしゃべりの内容に気持ちが移行していきまして。カラオケの話題で盛り上がってきていた。
「奥さん、カラオケ最近やらないの?」
「そうなのよ、なかなか行けなくてねえ。行きたいんだけどねえ。あなたはカラオケ、行かないの?」端っこに座っていたおばあさんが質問された。
「私はだめよ。歌がからっきしだめなのよ。歌うとね、主人が大きな声で、“おいおい、ぬか床のふた閉まってるだろうな!!”って怒るのよ」
これで、思わずプッと笑ってしまった。一応、本を熟読している風でいたのに、耳ダンボがばれてしまった。
人生の大切なことはすべて接骨院の待合室で学べそうな勢い。